タトエバナシ 2

4時半、いつものように目覚ましが鳴る。まだ暗い部屋の中、夕べの淋しさがじわじわ忍び寄る。

折れそうな心を守るにはどうしたらいい?
いくつかの選択肢を考える。

いつものように会う。そして何事もなかったかのように振る舞う。万一その話が出たら、速攻で、忘れてって言う。ただの確認作業だったということにする。

或いは、会いに行かない。これはずっと続けるわけにはいかないが、とりあえず今日休めばそのまま週末に突入する。時間を稼いで心を鎮め、今後のことをゆっくり考える。

考える時間はすぐに終わった。
『なんで私が逃げなくちゃならないの?』
少なくとも、このやりとりで私の立場が悪くなるとは思えなかった。断ったことで、負い目を感じるのはむしろ彼のほうではないか。

月の明かりが透けて見えるカーテン。そうっと開けると、濃い青色の空に、半月と、金星と火星が寄り添っているのが見えた。

月は輝きを放ちながら、一枚の窓ガラスの中、その位置を少しずつ変えている。
月も動いているのだ・・・

私はゆっくり起き上がると、キッチンを片付け、洗濯機を回し、熱いコーヒーを一杯ひっかけ、いつものように家を出た。




(写真はアイスの蓋の裏にできた結晶です。アーティスティックでしょ。)


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