11月10日、土曜日。
考えてもみなかった、
考えたくもなかった、
突然の別れが訪れました。
文鳥のぶんちゃんが、
亡くなってしまったのです。
それも、私たちの不注意による事故で。
わがやに来て、たった一年と5ヶ月。
本当に短い一生でした。
泣き悔やむ私たちに、
死は、
厳然と、
彼との楽しかった日々の終わりを告げたのでした。
私は台所で遅い夕食を作っていたのです。
突然、居間にいたぶんちゃんが
ただならぬ叫び声をあげました。
何事かと駆けつけたら、
震える夫の手に、ぶんちゃんの小さな体がおさまっていました。
ぶんちゃんの目は一瞬私を捕らえたものの、間もなく力尽き、
がくっと首を落としました。
一体何が起きたのか。
頭の中は真っ白です。
わけが分からないながらも、
彼の魂が、一瞬にして、
掴もうにも掴めない、
遠いところへ
飛んで行ったのを感じました。
狂ったように、彼の名前を叫びました。
体をさすってもみました。
しかし、まだ温かさが残るその体はぴくりとも動かず、かわいい黒い目は薄いまぶたで閉じられ、くちばしに触れても押し返す力はなく、
二本のか細く美しい足も、私の指を掴むことはもうありませんでした。
みるみるくちばしの赤みが失われ、数分前の彼からは想像がつかないくらい、容姿は変わり果ててしまいました。
今もこれを打ちながら、涙が溢れてきます。
直接の原因は、夫の不注意でした。
夫を責める気持ち、でも責めたところで彼は帰って来ないという、持っていきようのない怒りと哀しみ。
反面、この一連の出来事は私が引き寄せたのではないかと感じました。
この夏以来何かと体調が優れず、絶望的なことばかり考えていたので・・・。
それが、今日、よりによって大切な家族の一員であるぶんちゃんに影響してしまったのではないか。
そうであるなら、私も同罪であると思えたのです。
それから、覚めろと言っても覚めない、悪夢のような時間が始まりでした。
本来の飼い主である長男に電話し、泣きながら今起こったことを報告しました。
長男は冷静に、蘇生のためいくつかの指示をしましたが、どれも何の効果もありませんでした。
長男はこの春独立し家から一時間半はかかる場所に住んでいるのですが、これから来る、と言ってくれました。
しばらくして、まだ何も知らない次男が部活から帰って来ました。
次男もまた、いつも遊んでいたぶんちゃんの変わり果てた姿を見て、声を出さずに泣きました。
わがやの歴史の中で、最も重苦しい夜でした。
これまで生き物を飼ったことがなかった私たち家族は、初めて死というものを目の当たりにしたのです。
つづく
これは亡くなる9日前に撮影した写真。しばらく彼の写真を見ることができませんでした。
ほんとうに美しい子でした。
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