王子さまの空気感

先日しくじり先生で紹介されていたので、興味をもち購入・・・
読んだことないのに読んだつもりになっている本の代表だった『星の王子さま』。

昔日本でもアニメになって、最初の何回かは観た記憶がある。(ただあまりに子供をピュアなものと賛美し大人をつまらないものとする雰囲気に、子供だった私も胡散臭さを感じ途中でいやになってしまったが)
その主題歌も覚えているので読んでいる間じゅう、頭のなかでリフレインしていた。

改めて読むと、この不思議な空気感。寓話だからというより、純粋なんだか大人びいているんだか、このつかみどころがない王子さまのキャラクター。

語り手であるパイロットの「ぼく」と出会って最初の一声が、
『すみません、ヒツジの絵を描いて』_____、
あの、飛行機不時着したばかりでそれどころじゃないんですけど!
相手が質問に答えるまであきらめないくせに、相手の質問には答えない。(こんなふうに状況を読まない超マイペースなところ、アスペ的なものを感じる)

広大な砂漠の中で、とりとめない彼の哲学が詩のように語られ、
旅の途中で出会った人や動物が、人生に必要なのかどうかよくわからん気づきをもたらす。
(これまであらゆる人生指南を読んできた私は、一冊の本を崇拝しすぎないようにしている)

読み手によって、王子さまとバラの関係は恋人だったり親子だったり変わるようたが、これは明らかに男女の関係を表していると思う。なぜなら王子さまの台詞、
『ぼくも若かったし、彼女の愛しかたがわからなかったんだ』
って、君いくつ?・・・

訳者あとがきがまた興味深い。
『イギリス人もドイツ人も、そして日本人も、決してこういう本は書けない』
王子さまの語るモラルは、『いかにもフランス的な、人間そのものに根ざした、理屈を超えて心の共感を求めるような、そのためのスキルを教えるようなもの』なのだ。ふむ。
たしかに、タイトルからイメージするようなメルヘンちっくな話ではなく、子供にはわかる(とされている)ようでこれを理解する子供が果たしているのか。
ちょっと疲れた大人(私のような?)が自虐的に読む物と感じる。たぶんその人なりに楽しめる話なのだろう。

ここまで書いて気づいたが、砂漠に降りてきて奇跡(気づき)をもたらしまた星に帰る宇宙人の設定、まるでこないだ観たインド映画『PK』そのものじゃない?!あちらはコメディーで、宗教に対する常識をぶっ壊すものだったけど・・・
この点を訳者はイエスにもなぞらえているけど、空から奇跡が降ってくるって話、古今東西、物語の定番なのかもね。
(そういや昔読んだ『デザート・デイドリーム』という漫画も砂漠に不時着した空軍パイロットが宇宙人→美人に出会って云々というストーリーだったな。ロマンチックで好きだった(*^^*))


ともあれこの物語のイメージをいつか何かの形にしてみたい。紺碧の空、漂うピュアだけどスモーキーな感じ、砂漠の乾いた蜂蜜色、アクセントに薔薇の色、金色のヘビ、きらめく星。故障した飛行機。
作者は1944年、偵察飛行中に行方不明になっている。王子さまの星に行ってしまったのかな・・・たぶん誰もがそう思う。まるで物語の続きのように。




ねこのめぞん

【 Life is ... 】

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