真夜中の太陽

劇団民藝のお芝居を観る機会をいただき、昨日(ラッキーにも私の誕生日!)

新宿スペース・ゼロでの昼公演へ行ってきました。



劇団民藝といえば!

私にとっては特別な響きがありました。

約10年前、わが劇団天地で『日の出』を上演することになった際

参考資料として読ませていただいた民藝さんの戯曲の

こなれ感がとにかく素晴らしく!

唸ってしまった記憶があったのです。

しかし今回は、戦時中の女学校が舞台とあり

若干不安がもたげましたが(私は涙腺が弱いので)

日色ともゑさん(あの『大草原の小さな家』の母さんの声!)が主演

ということですごく楽しみにこの日を待っていました。


さて。感想を思いつくままに。


主人公のハツエ(85歳)は、女学校が空襲に遭った際

一人だけ生き残ったことに対して

罪悪感を抱いて生きてきた女性で、何度も何度も

回想の中であの時代に戻っては

級友たちを助けようとするんだけど

当然のことながら、どうしても過去は変えられない。

このへん、私も自分のこととと重ねてしまうんですね。

長く生きていると、

「あのときあんなことしなければよかった」

「あのときどうしてあんな態度を取ってしまったんだろう」

って思う記憶が、いくつもありますからね・・・

過去は変えられない。でも、せめてそれを償う方法が

あると思いたいのです。

心の中で追体験して、記憶の中の彼女たちと和解する、

自己満足にすぎないのかもしれないけど・・・


終盤でハツエは、級友たちと会話する。

85歳まで生きてきた、これまでの人生を

問われるままに語るんです。

女学生から看護婦になって、医者と結婚して、

子供を二人授かった、ごく普通の女性としての人生なんだけど

死んでしまった級友たちにとっては

一つ一つがきらめくような経験、

素晴らしい人生なんですね。

実は私たち、生きてるだけで丸もうけ、なんですよ。

これが、人生を経験させてもらってる、

貴重な機会を与えてもらってるってことか!って

腑に落ちて。

私の感情がピークに達しました。

さらに、スピリチュアルな視点で言えば

恐怖に支配されての行動(この場合、防空壕に避難)ではなく

楽譜を探しに音楽室に戻ったハツエが生き残ったのは

不思議でもなんでもないんですね。

恐怖をベースにした行動はロクな結果になりませんから

(私はこれでいつも失敗しています(-_-;))

でも、何が幸いするか分からないのも人生ですよね。


演技と演出について。

級友たちから最初彼女の姿は見えないのだけど

→彼女の回想だから、

いつのまにか老人姿の彼女も女学生に戻って

あの時代を追体験していくのですが

流石、日色ともゑさんです。

他の女学生とおしゃべりする声とか仕草が全然違和感ない。

ほんとに女学生みたいでした。


演出の方は、意外と若い方でした。

終了後、トークタイムがあったんですが、

観客からの微妙な質問に

緊張しながらもきちんと自分の考えを話していました。

観阿弥だか世阿弥だかが言ったように、

観客は選べませんからね~

観る人の理解度は様々なので

いろんな考えがあって当然ですが

万人受けする演出なんて不可能ですから、

大変ですよね。



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