PACHINKO

去年読んだ本の感想を、今更だがここにも書いておこう。


”PACHINKO”・・・在日コリアンの4世代にわたる苦難の物語。

とくれば、わざわざ読んでみたいとは思う日本人は少ないかもしれない。たとえオバマが絶賛という触れ込みがあったとしてもだ。

日本や日本人を非難されるのではないか、ただでさえ気が滅入ることが多い日常にこれ以上不快な思いをしたくないというのが理由。

何故そのタイトルをつけたのかは読み進めるうちにわかってくるのだが、それでもあまりに惜しい。清濁併せ吞んで流れる物語の「大河」に、私は引きずり込まれた。


何に譬えればいいのか。女の一生というなら「おしん」。祖母・母・娘三世代の話というならユン・チアンの「ワイルド・スワン」、強くたくましい女というなら「風と共に去りぬ」。泣かせるツボがそこかしこにあるチョン・ヤオの「寒玉楼」・・・。

ネタバレ御免で書きたいことが山ほどあるが、

ここでは、主人公ソンジャがなぜ日本で生きていくことに

なったのか、その説得力のすごさについてだけ書いておこう。

それには絶妙に配置された三人の男がいて、

誰の存在が欠けても、この展開はあり得なかった。

それに気づくと、物語とはいえ運命の不思議さについて

考えてしまうのだ。

やがて彼女と共に戦前戦中戦後の激動の時代を在日コリアンの視点で

追体験することになる。運命を静かに受け入れ懸命に生き抜く者と、

運命から逃れ、ついに成功したかのように見える者。

日本や日本人に対しての描写が、公平であろうとしている姿勢が

救いだった。

作者はコリア系アメリカ人のミン・ジン・リー。(私と同世代!)

学生時代からこの物語を書くためずっと取材を続けてきたという。

リスペクト。



インスタグラムの広告から何かを買ったのは、初めてだった。

まして上下巻合わせて5000円を超える本を新品で買うだなんて。

ちなみに、買った時点で私は図書館で借りた同作品を

既に読み終えていた。

わざわざ買った理由は、母に読ませたかったから。

彼女は読んだ後、私にまた送り返してきた。

(プレゼントだったのに。)

ヤフオクに出品したところ、まだまだ需要があったようで、

送料手数料を引いても6割がた回収してしまった。

中古本を買うのもいいけど、人気のある本は新品で読んで転売すると

いうのも良いかもしれない。




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