気づくまで【電磁波過敏症】


電磁波過敏症を自覚するまでの流れを書いてみる。

ある日突然起きたと感じていたが、振り返ってみると、もっと前からそれは始まっていた。


変だな?

私は手書きの日記もつけていて、それによると4月3日(金)夜、『身体が重くて重くて、困った』とある。4行日記にわざわざ書いているということは、相当きつかったんだと思う。具体的には覚えてないけど。

当時はそれをコロナのネガティブニュースからの影響だと思っていた。

5日(日)の日記には、『肩から背中にかけて”詰まり”を感じ、めまいはするわ耳鳴りはするわ』とある。この”詰まり”は、当日洗濯機の排水口が詰まっていたことと関連しているのではないか?と思っていたようだ。私は一見何の関連もなさそうなところに共通するものを見つけるのが得意だったりする。スピリチュアル的に、家と身体の状態はリンクするというからなぁ、と。

でも、排水口が解決しても、身体のほうはすっきりすることはなかった。波があったから気づかなかったけれど。


変なものが見える!?

その1、2か月前から奇妙な現象が現れていた。

その代表が「変な物が見える」。あるはずがない物を感じるという、オカルトチックなものだった。特に夜、視線の端に黒い影だったり人の足だとか顔だとかが一瞬見えたりした。ぎょっとしてよく見ようしてもそこには何もない。そういうことが頻繁に起きた。あるときは部屋の上部に広がる白い霧のようなものだったり、かと思えば冷気と共に「何か」が背中にのしかかってきて、思わず悲鳴を上げるといった具合。

ちなみに私に霊感はない。なのでこのときは疲れているんだろうと思っていた。別に生活に支障をきたすほどではなかったし、仮に「変なものを拾ってきちゃった」んだとしても、霊はどこにでもいると聞いたことがあったので、あまり気にしなかった。

これはたぶん電磁波が起こした神経のいたずらだったんじゃないかと今は思う。


低周波に追いかけられる?!

そうこうするうちに、今度は不快な「低周波」を感じるようになった。

寝ていると、どこからかブーン、ブーン・・・という規則正しい低い音が聞こえてくるのである。音だけでなく、木枠のベッドにまでかすかに振動が伝わってくる。たまらず起きて、リビングに移動するが、その音はしつこく私を追いかけてくる。低周波と書いたが、時間によっては高周波というか、キーン・・・と高い音になることもあった。

検索すると、世の中にはこのような不快な音や振動に悩まされている人が結構いるようで、それは夜中にポンプで水を汲み上げている機械や換気扇が原因であることもあれば、驚くことに住民を追い出すための「嫌がらせ」というケースもあるらしい。精神的にまいっているとき、人は簡単に悪い情報を信じてしまうものだ。私は一時期、下の住民やマンション管理会社を疑ってしまっていた。(すみません)

私に我慢強くつきあってくれていた夫がたまりかねて言った。

「なにバカなことを。冷静に考えてみろ。何で下の人がそんな「低周波を発する機械」を使って嫌がらせをするんだよ?しかもお前だけにピンポイントで。部屋を移動してもしつこく追いかけてくるなんて、そんなすごい技術とお金をかけてまで!(呆れ顔)」、それに対し「だってそういう機械も現実にあるらしいよ!(某国の諜報機関の話だけど・・・)」と言い返す私。

ちなみに、下に住んでいるのは温厚な老夫婦である。彼らがC●Aが開発したスゴイ機械を使って私を攻撃するほど、どんな恨みを買ってしまったのか。それは私にもわからなかったが。


眠れない夜は身を起こしてひたすらマントラを唱えた。世界最強と言われるヒンドゥ教のマントラだ。しかし効果空しく、気づけば夜が明けていた日もあった。

マンション管理会社にこのことは伝えたが、原因はわからずじまいだった。

灯りを消した真っ暗な部屋に、モーター音や振動が伝わってくる。家族は私が気にしすぎだと言う。水道の蛇口から落ちてくる水滴が、一度気にし始めたらずっと気になる、そんな感じで受け止めていたようだ。


本格始動!?

やがて、「それ」は新しい段階に入った。本格始動と言ってもいいかもしれない。

ある日仕事から帰ってくると、家じゅうの空気が何かの圧をかけられたように重くなっていた。それによって私は耳鳴りと眩暈、ふらつきを生じ、思わず廊下に座り込む。

何だろう、これ。

私もそれなりに長い間生きてきたので、自分の身体の感じ方というのはわかっているつもりだ。不調のとき、どう感じるか。だから経験から言って、これが身体の内側から生じたものというより、何か外部の物によって強制的に身体の機能がおかしくなっている、と感じた。

まだ4月の上旬の話であるが、このあたりになるともう時系列はわからなくなる。歩行時のふらつき、喉から胸元にかけて詰まったような不快感、動悸、皮膚がみるみる乾燥して真っ赤になること、口の中が急に乾燥して口臭がきつくなること、頬や手足の微弱な電流が走るようなしびれ。様々な症状が一気に現れるようになった。

廊下で感じた空間の異常は、リビングでも強烈に感じた。息子に「なんかこの家、変な感じがしない?」と尋ねるも、息子は別に何も感じないと。心配してしつこく聞くと怒り出した。

夫も私がウソをついているわけではないのはわかってくれてるし理解しようと努めてくれているが、やはり何も感じないという。

こんなにはっきりと気持ち悪いのに、私だけしか感じていない。

少しでも楽な場所はないかと家じゅう移動したが、玄関近くが若干ましなだけで、家のどこにいてもその変な「気」は変わらなかった。

原因も対処法もわからず、一番苦しかった時期だ。


全ての原因は...

空間の「異常」感知能力?がさらに進むと、場所だけでなくモノに対しても反応の違いはあれ、これまでに感じたことがなかった何かを身体が訴え始めた。

その最たるが電磁波を強烈に発しているモノであることに気づくまで、そう時間はかからなかった。

パソコンを使えば頭痛がするし、スマートフォンは更にひどかった。画面を指で触れると、ジンジン痛い。電話を受けて会話すると、眩暈と吐き気がして体調が回復するまでに時間が必要だった。

場所で言うなら冷蔵庫の前。ただ立つだけで足の裏へと電気が走る。状況で言うなら電子レンジを使っている間。他の部屋にいても眩暈がして、食事をするどころではない。


それまで電磁波が身体に与える悪影響について、漠然とは知っていた。

けれどもおそらく多くの人と同じように、自分に被害があるまでは深く考えることはなかった。仕事では毎日7時間以上パソコンを使い、昼休みにはスマホをいじる。家に帰れば、電子レンジで食べ物を温め、冷蔵庫からよく冷えた飲み物を取り出す。夜や休日にはパソコンで調べものをしたり買い物をしたり、動画を楽しんだりもする。

私は最先端の機器には興味がないけど、それでも電気の恩恵を受けたごく普通の現代人だったのだ。

少なくとも、この3月までは。


電磁波が原因とわかったことで、これまでの全てが繋がったわけだが、同時に社会に対する絶望や自分の無力さをも感じるようになった。

この過敏症、はっきり身体に現れていても、社会的には(少なくとも日本では)「ない」と存在を否定されているのである。







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